就活日記⑤ 「高倍率の大手と優良企業。あらゆる競争に振り回される私たち」

 

三月から本格的な就活戦線が開かれ、一週間ほどたった。

 

行きたい職種は決まっていて、受けるところも決めている。しかし、全て倍率が高い。

 

だからこそ、他の業界や職種も見ている。

 

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説明会に行って、メモをビシッと取る。

 

あれ?なんだかおかしい。

 

気づいたら大手ばかりを見ていた。

 

いやそんなはずはない。大企業とまではいかないが、優良企業もみてるさ!

 

そう思った自分が情けない。

確かにホワイトで優良な企業もエントリーしている。

 

けど、それはホワイトです。優良です。とどこからか情報をあつめてきた企業だ。

 

案の定、少ない採用数に同じような情報を見た就活生が押し寄せる。

 

うわー。けっきょく全部倍率高いとこだ。

というよりは、昨今の就活は情報戦と言われるからこそ、「優良企業」には大小や知名度に関わらず人気が出るのだ。

 

あのホワイトで有名な「未来工業」の説明会を3月1日にみると、岐阜でしかしていないにも関わらず、全て満席だった。採用倍率の高さを感じた。

そりゃ、国内の平均年収より多くもらえて、年間休日140、それに加えて有給40日だったと記憶してる。残業禁止で、旅行も会社な費用でいける(何年に一回は海外)。会社の改善案をどんなものを出しても一案500円だ買い取ってくれるユニークなシステム。

そこに業績も常にいいもんだから、探してましたと言わんばかりに就活生は集まるだろう。

 

「未来工業」と対極に見える「キーエンス」にも人は多く集まる。

現在の平均年収1777万円。メーカーのメーカーを自負するだけあって、メーカーの始業時間と終業時間より早く出社し、遅く退社する。残業は21:30以降の禁止。

新人には、早くから責任を持たせ成長させる。世界規模で見てもトップレベルになる成長環境がある。

激務ながら、高給かつ確実な成長環境だ。「30台で家が建ち、40台で墓が立つ」なんて言われるほどだから、そのドリームと最高のビジネスパーソンになるために、就活生は大勢受ける。

 

つまり、学生が行きたい企業とは

◯給料が高い

◯福利厚生がしっかりしている

◯社会的地位が高い

◯高級でなくても、プライベートを守りやすい

◯成長できる環境(これは正直建前の人が多いと思う)

◯企業の安定(今時、数年先がどうなってるかなんてわからないから、これは当てにしない)

 

のどれかを満たしている企業だ。

 

必然的に、離職率は高いが高給の大企業か、

優良ホワイトで有名な企業(大小問わず)のどちらかの選択になる。

 

二者択一。企業は星の数はほどあると言われても、一人当たりのエントリーが尋常な数でない今、行きたいところに行ける可能性は高くはない。

就活で就活生がエントリーする総数と、企業数を比べると、エントリー総数の方が確実に多くなるだろう。

 

私たち就活生にとって、最も大切なこと。

それは、内定を得ることだ。

 

それには前提が付く。

昨今の経済的不安や労働状況からよくわからないところや、先が危ぶまれるところを避けて就職したい。という前提だ。

 

特に、インターンや就活開始直後はこの前提を強く意識している。

そこに就活ナビ系統はある一定の企業を強く紹介するので、ある枠組み内で、どこも倍率は高くなる。

 

就活時期が変わって、企業の採用プログラムも流動的な上、

空前の売り手市場と言われる昨今の就活では、企業の大小関わらず積極的に採用活動をする。

 

結論、大小関わらず、同じ時期に採用を行うのだ。

 

さすがにこれはきつい。エントリーシートと説明会が集中する3月〜5月にかけてで1人で100社も出せない。

ましてや面接の日時は確定しないので、いくら出しても被って時間の無駄になる可能性も高い。。。その無駄な時間あったら受ける企業の研究など準備に当てれたはずなのに。。。

 

数打ちゃ当たる。そんなわけもなく、その企業に対応した質を担保できないと落ちることは確定しているのと同じだ。

かと言って、質にこだわりすぎても、面接官や企業との相性、グループディスカッションの相手、当日の体調もある。

絞って、そこに時間をつぎ込んだから受かる、というのは成功者が勘違いする精神論に過ぎない。

 

質と量を共に追い求め、運を掴んだものが内定を得るのだ。

 

と言っても運の要素は強く、内定を一つももらえずに夏に突入する学生も多いはずだ。

パーセンテージでは少なく見えても、実数に直すとなかなかのものだろう。

自分がそうなる可能性だってあるし、なって当たり前と言っても過言ではない就活市場だからだ。

 

そして、内定辞退社のため、追加採用が終わるといよいよ何も残っていないのだ。

 

心は折れ、やる気がなくなっている。

友人たちは内定をもらい、就職まで残りわずかな人生の夏休みを謳歌しているはずだ。ゆっくりするどころか、バイトで積極的にお金を貯め積極的に旅行に行く姿は想像しやすい。

 

そんな中で目的意識を保ったまま、少し前に述べた前提を胸に就活を続けれる人は少ない。

 

けっか、福利厚生や給料といった自分の中のハードルを下げ内定をもらうまで就活を行うのだ。

 

クリスマスに内定をもらった知人は今、週6日で日をまたいで帰宅する労働を続けている。

東京で住宅費はでない。領収書を切る自分の元でもほとんどない状況で、休みの日にカレーを大量に作り、平日の夜食べている。

 

しんどそうなので、転職しないのかと聞くと

三年くらいここで働いて実績残さないと、次が見えてこない。と言う。

 

優秀で話もすごくうまい人なのだ。

ただ業界を絞って(どこも倍率が高い業界)いたからこその状況だ。

 

そのほかの友人には、大企業に勤めたものの、鬱になって辞めた人もいる。

一年目で転職した人もいる。

 

なんだか、今の就活を見て、自分で就活をし、先に就職した友人を見ていると、どん底しかないように見える。

 

大手に受かったから、万歳!なんて時代ではない。

大手や優良企業に受からなければ、入る前から分かる地獄が見えている。

 

バイト先に就職したいですか?と聞けば

かなりの確率で、嫌です!と帰ってくるだろう。

 

それぐらい、生きていきやすい仕事が今の時代にはないのだ。

 

数限りあるパイを奪い合い、奪えた就活生はすごい。奪えなかったやつが、悪い。

社内の競争を勝ち抜き、生き残りったやつが正義で、脱落した人間はその程度。

 

なんていう精神論じみた自己責任溢れるところに原因を追求したりしない。

 

問題は、よりよく生きていくためのパイが小さいことである。少ないことである。

 

企業内環境や就活といった構造に問題があるのだ。

もっと言えば、そうさせた、そうさせている

経済と政治のシステムに問題があるのだ。

 

この構造の話はいずれしたいと思う。

 

政府の提案する働き方改革。よくわからない人から見ると労働時間が短くなって良くなるように見えると思う。

 

そんなことはない。量から質に転換するだけだ。

 

要するに、今までより短い時間で同じ成果を出せ。そう言っている。

 

若者から年配者限らず、鬱の発症には身体的辛さだけでなく、周囲の環境も強く影響する。

 

環境が厳しくなるのだ。国際競争に負けないだけの、質を求められるようになるのだ。

 

政府主導で企業が実践する「働き方改革」は働き方を変えるだけで、

現在起こっている労働時間を解決するに充分なものではない。

 

というより、さらなる発展を求めるからこそ、新しい問題も出てくる可能性も高い。

 

この国はどこに向かうのか。企業はどこに向かうのか。

 

問いへの解答だ。

 

世界という舞台で、競争し続ける。

人間にできることな範囲が広いからこその、青天井。

あいつより上に、お互いしんどくとも、競争はやめられない。

相手が疲れ業績を伸せば伸ばすほど、こちらも対抗して伸ばして疲弊する。

 

最後に立ってたやつが勝者だ。他全部敗者。

だから、人間がどれだけ潰れようとも、最後に仁王立ちしているために進み続けるさ。

 

こんな社会嫌ですね。

 

以上、就活や友人の状況から、政治経済を考えてみました!

 

おーわりっ!

 

◯追伸

就活就活就活。自分の社会認識の矛盾していてもやらねば飯が食えない。

オルタナティブな生き方もあるらしい。けど、だいたいあれは、たまたまうまく言った人の成功例。

 

当てにしてはいけないさ。

そういうのを間に受けて、生活ができないほどしんどくなっている人を何人も知っている。

 

進むも退がるも、違う道を探すのも命がけ。

 

四面楚歌?敵のように見えても、生きたいという同じ土台を持つ人たちばかりだから、違うな。

 

じゃあ、八方塞がりとはこのことだ。