就活日記⑧ 「空前の売り手市場の内実」
ニュースを見ても新聞を見ても
「新卒生空前の売り手市場」の文字が踊る。
最近では、就活生がプレゼンを行い、そこに人事が参加して採用をするという「逆就活」なるものも表に出てきた。
2017年の新卒有効求人倍率は1.74倍で数字上はなかなかの数字を叩き出し、売り手市場とうだけはある。
企業や政府曰く、経済が上向きになってきたかららしい。
そして、数年前に高知県の有効求人倍率が1倍を超えて今では1.11倍まで増加した。これも政府は経済の好循環だと言う。
もう有効求人倍率を見ると上向きになりまくっている。
その原因としては経済の好循環だと叫ばれることが自分の頭に定着してきたが、そういえ理由ではないのだと考える。
じゃあ、何が理由か。
忘れ去られているかもしれないが、団塊の世代の退職の真っ只中であるからだ。
高度経済成長期のノリノリの日本。成長幅もどこの市場を見ても余裕があった日本。若者がたくさんいた日本。
全てが重なり大勢入社した世代が毎年毎年辞めていくのだ、有効求人倍率が上がらない方がおかしい。
そして、高知県の県はこれまたおもしろく。
自分の実家も四国なのだが、自分みたいな若者が都会に吸い上げられ、その土地に労働者が少なくなったからだ。そしてここでも例外なしに団塊の世代は退職を迎えている。それは仕事が少なかろうと必然的に有効求人倍率は上昇する。
何が言いたいのかというと、別に経済は上向いていないということだ。
日銀の金融緩和。そしてマイナス金利。
実体経済をどこかへ放置して、架空のお金の数字だけが動き続ける経済がいい感じになっているように見えるのだ。
体調が悪いのに、頑張って化粧して顔色を誤魔化し面接に行くのと同じだ。
旅行会社「てるみくらぶ」の倒産とともに投げ出された内定者58人に対して200以上もの企業から採用要請が出て、争奪戦が起こっている状況を見ると、日本経済は安心で就活もウハウハみたいなイメージを何も知らない大人は思うかもしれないがそうではない。
この数字上は良くとも、実態として厳しい経済状況の中を勝ち抜くために必死なのだ。
決して創設当時のハングリー精神ではなく
勝たないといけない潰れるわけにはいかないという危機感からの企業の行動だ。
だから、私たちの様な今から就職する人にとっては非常に厳しい環境しか待ち受けていないということになる。
空前の売り手市場は団塊の世代の穴埋めとして当たり前。
企業の生存競争が激化しているから当たり前。
これまでと比べ、入り口はパラダイスのように見えて、入ってからは反面ディストピアが待ち受けている。
そして忘れてはならないのは、この状況で働きたくても働けない人がたくさんいて、
ワーキングプアがどんどん増えている現実だ。
入社してからの失敗は私たちの世代にとっては命取りなり。
一度、使えない判断を下されたら生きていけない。
有効求人倍率が上がったからと言って、何も華やかな仕事ばかりではない。
ワーキングプアの人たちは働きながらも生きていけないほどに賃金が少ない。
安定した仕事の需要の増加より
不安定労働の需要のほうが圧倒的に増加しているのだ。
数字のマジック。騙されないようにしたい。
そして、騙されなくとも、生きていけなくなるなら、それも大きな問題だ。
リーマンショック前並みの数字を叩き出す経済に、まだ見ぬ恐慌を未来に見据えてしまうのは必然だろう。
どんな状況でも、どんな未来に衝突しようとも、強く生きていきたい。
これだけ社会構造に私たちの人生が振り回され規定づけられる現状で、全てを自分のせいにして鬱になるなんて間違っている。
そう思うからこんな記事書いて見ました。
◯追伸
あっちこっちいった話にまたもなってしまいました。
言いたいことは、今の社会構造は理不尽な問題を孕みながらも、都合のいいPRを私たちにはしている。だから、その前提を踏まえてしんどくなりすぎないようにいきていこう。ということでした!
長々と書きましたが、読んでいた人に感謝です!