社会人日記 予算作成について

●メーカー営業の予算について

 昨今就職活動や転職活動で自身のスキルアップを前提にベンチャー企業への関心が高まってきています。また、金銭的に豊かな暮らしや社会的立場を意識して商社・証券会社・コンサルなどの高給取りの仕事への憧れがある方はかなりのいらっしゃるのではないでしょうか。

 

 今回は華やかな職種ではないが、堅実に人気のあるメーカーの営業について 少しお伝え致します。メーカーへの転職及び就職を考えているの方々への参考になれば嬉しいです。

 

さて。今回お伝えするのは、予算について。私が勤めているメーカーの中でもかなりお固い部類に入る金属材料の営業についてお話します。製造業は根本的には近しい業態で商売をしているので、意外と参考になるのではないかと思います。


・予算とは
 会社それぞれで時期は前後しますが、年末には来年度の予算の作成が始まります。ここでいう予算は販売予算のことです。要するにノルマです。私が勤めているところでは、1年間の販売計画を各営業担当が作成し、それを集計し、販売予算数量に沿った形で、工場の生産数量を確定していくので非常に重要な数字となります。

 

※販売予算の策定には大きく分けて二種類あります。私のように営業担当ベースで予算を作成し、そこに上乗せして作成する時タイプと統括部門が一方的に予算を作成し各部署に通達するタイプです。ここで重要なのはどちらにせよ予算が低く見積もられることはないということ。各営業担当ベースででの上乗せの場合、曲がりなりにも合意の上になるので未達は許されません。一方的に通達タイプは「上が勝手に決めただけだ」と言い訳はできますが、もちろん未達が許されるわけではありません。なので、どちらにせよ必達の数字で、逃げることのできない数字となります。


・私の仕事(予算作成)
基本的に法人顧客への販売が営業としての私の仕事です。既にお取り引きあるお客様が1年間毎月どれほど自社の製品を使ってくれるかの予想が予算数字になります。他には新規のお客様向けもありますが、材料業界は採用まで時間がかかり、進んでいても採用されないこともあるため。ほぼ確定してる新規顧客への拡販を除いては、予算に入れ込むと大変なことになるので、予算化しない方向で進めることが多いです。ただ業績が悪い時は別で、どんどん当てもない新規客先を予算化したりするので、自分がいつ目をつけられるのかと戦々恐々としております。

 

・予算の組み方

 先ずは、作成予算の一年前の客先の使用量を分析します。だいたい月平均どれくらいなのか、傾向として使用量が増減する時期はあるか、現状在庫をどれくらい抱えているかや客先が想定する在庫率、新モデルの立ち上げや廃止などでの数量の変化予想ですね。

 

先ず予算を作成するとき、在庫率は非常に重要です。4月から適応される予算で、4月時点で客先に在庫余っている明細は出ないですよね。1年間平均的に○○出荷できるといったように平均化して予算を組むと、出ないのわかってて組んでいる月もあることになってしまうのでそれは避けましょう。

 

そして顧客の使用量も重要です。この顧客はこれくらい平均して使ってくれているというのは良い基準となりますが、国内だとゴールデンウィーク・年末年始・お盆などは工場を止める客先が多いのでその時期の出荷予算を他の月と同じにするのは愚の骨頂です。また国外だと中国の春節国慶節の時期は気をつけましょう。インドネシやならラマダンなど、各国で文化的に休日が多い月は違います。私は一年目で平均化した予算を組んでしまい、案の定出荷数量が少なく、めちゃめちゃ怒られました。

そして一番読みズラいのがけいざいや新規モデル立ち上げや流行による使用量の増減です。これは本当に読めないので、確定情報がなければ、変に期待値として予算に組み込まなが吉です。だってもし達成できなければ、嘘つきかつ自分で決めたノルマさえ守れないというレッテルを貼られてしまいますからね。


・予算の愚痴

 うちは各営業担当が担当の顧客の予算を組み、それを元として部署で会議が開かれます。どんな会議というかというと、組んだ予算に対して、「まだ乗せられるでしょ。これだけしか出ないの?」と問い詰める会議。いくら各営業担当が顧客の実需に合わせて、1年間の予算(販売計画)を組んだとしても、上司の方々には、一年で達成必要な会社としての数字が見えています。その会社や部署としての達成必要数値と各営業が組み立てた予算のギャップを埋めるための会議ですね。

 

正直なところ、甘い数字を出している可能性もありますが、顧客にヒアリングして決めるているので、ある程度確実に出る数量を提出しているのですが、上の方々は色々理由をつけて数字を上乗せしようとしてきます。基本的に企業というのは前年度より数値目標を上げ続けるので現状維持の予算を作ってしまうと怪しまれます。景気の良い予算を作って入れば、何も言われません。が本当に厳しいのは一度確定された予算は絶対的な数字になることです。管理者層からしたら絶対に達成しないといけない数字ですから、予算会議で実需はそこまでではないが、景気が良くなるかも知れないからと言って勝手に上乗せした数字分が実際に出なかったとしても、しょうがないということにはなりません。

 

 

あとは大体こういうのは予算を決める会議では、初期の計画に積めないないとは中々一担当では言えないものです。ベテランが率先して、管理職の意図を読み取り、数字を積み増すからです。人によっては、積めるように低めの数値を提出する人がいます。上手いですね。ちなみに経験が浅い人間がこれをやると、精度の低い予算作りやがってというようになるので気をつけましょう。ベテランの信頼が前提にあるからこそ、できる芸当です。

 

 

そして厄介なのがチーム論。予算を作成する時は、チームだからと初期予算に数字を積むことがチームへの貢献であるように語られます。その時は、「さすが!!ここで積めるのはすごい!」などとコメントが入る事もあるのですが、予算確定後にすることになるのです。というのは。作成された予算が適応されると、実需に幻の数量を積み増したことなんて上はすぐに忘れ、なぜマイナスなのかと怒り出す始末。「自分で立てた予算には責任持とうよ」と責任は担当のものなのです。「立てた予算が高かった」は言い訳になりません。それがどんな理由だとしても。「根拠がない数値を立てたお前が悪い」と言われて終わりです。都合のいい時はチーム論でごまかし、あとは自己責任にして責任を切り離す事象は日常茶飯事です。

 

 

いつも社内では「論理だ、根拠だ、筋を通せ、軸をぶらすな、考えて動け」と声高々にいうのはいいのだが、こういう予算作成の場で筋を通している人など誰もいない。筋をせばチームプレイができないやつだと言われ、言うことを簡単に聞き入れると自分で作成した予算も」達成できない仕事のできないやつだと叱責される。こんな会社もうイヤだ!と言いたいところだが、まだうちは個人向けの営業ではないため、ノルマの上限が見えて入るし、ゆるい方なのだろう。ただ、ゆるくてもこのレベル。今みたいな景気の悪いときに営業するほど、しんどいことはない。

 

 

予算(ノルマ)安定達成可能な水準で組まれることはそうないだろう。だいたい既存の保守では達成できない、もしくは景気が悪ければ未達に終る。そのため、どちらにせよ、常に新規の拡販は必要とされる。本当に心から世の中に広がってくれたら嬉しいと思っている製品を扱っていない場合、その新規拡販のモチベーションは強くはわかないのです。それが製造業の営業が荒んだ雰囲気になり易いの要因でしょう。就職・転職するなら、本当に売りたいと思う物に関われることを優先しないと、やっぱり給料だけでは仕事は続かないなあと思う次第でございます。